1.1
原則と実践
知識労働についての十の信念と、そこから生まれる十二の習慣です。
知識労働の多くは、一つの判断か提案で終わります。そこに至るまでの考えは、誰かに聞かれるまで頭の中にあるだけで、聞かれる頃には半分忘れています。その考えを残しておくのは一つの技術ですが、それを教わる人はほとんどいません。
以下は、私たちが大事にしている原則と、日々続けている実践です。どれも一つの意見です。あなたの習慣とぶつかるものがあれば、どちらが間違っているのかを考えてみる価値はあります。
原則
- 01
移ろうものを捉える
アイデアが浮かんだそのときは、置き場所を決めるにはいちばん向いていないタイミングです。まずは頭の外に出してください。整理するのは、ほかに何があるか見えてからにします。
- 02
所有権を最大限に
ノートは、どのツールでも開ける形式で、自分で管理できる場所に置いてください。アプリは買収されたり、変わったり、終了したりします。そうなったときに、ノートまで一緒になくなってはいけません。
- 03
移し替えを最小限に
ノートも、タスクも、会議も、そこに出てくる人も、ひとまとまりの仕事です。四つのアプリに分けると、一日中それらのあいだで書き写すことになり、それでも中身は少しずつずれていきます。
- 04
信頼できる唯一の情報源
一つの事実を三つのノートに貼りつけると事実が三つになり、そのうち食い違ってきます。事実は一か所に置いて、そこへリンクしてください。
- 05
明快な用語
フォルダはフォルダで、タスクはタスクです。何かを書き留める前に、ツール独自の用語を覚えさせられるべきではありません。
- 06
事務作業を徹底的に減らす
保存、名前の変更、打ち直し、書式の調整は、考えることではありません。そういう作業はツールに任せて、注意は判断のために残しておいてください。
- 07
最初から非公開
ノートは、クライアントや計画や同僚について本音を書く場所です。ほかの誰にも読まれなくても、問題なく役に立つべきです。
- 08
パフォーマンスは必須
ツールに待たされると、そのうち使わなくなります。開くのも、探すのも、切り替えるのも、ノートが十件でも一万件でも、すぐに済むべきです。
- 09
決定は後からたどれるように
どの決定についても、どこで、誰が、なぜ下したのかをたどれるべきです。ノートを編集するツールも同じで、何を変えたかを示し、元に戻せるようにするべきです。
- 10
教えるつもりで書く
どのノートも、会議に出ていなかった人に向けて書いてください。半年後には、その人はあなた自身です。
実践
- 01
受信箱は一つにする
置き場所がはっきりしないものは、ボイスメモでもホワイトボードの写真でも、同じ場所に入れます。受信箱が一つなら確認する場所も一つで済み、二つのあいだで何かがなくなることもありません。
- 02
その日のうちにまとめる
会議のノートがいちばん役に立つのは、会議が終わってから一時間ほどのあいだです。自分の走り書きが何を意味していたかまだわかるうちに、その日のうちに整えてください。金曜日には、もうわからなくなっています。
- 03
結論を先に書く
ノートは、決まったこと、まだ決まっていないこと、誰が何をするかから書き始めてください。詳しいことはその下に書いておけば、必要な人が読みます。そういう人は、たいていそれほど多くありません。
- 04
理由を書き留める
決めたこと自体は、あとでわりと簡単に見つかります。見つからなくなるのは理由のほうで、誰かがそれを変えたいと言ってきたときに必要なのは、その理由です。
- 05
タスクの担当は一人にする
何人かが関わっていても、そのことを聞かれるのはそのうちの一人です。その人の名前を書いてください。誰の名前も挙げられないなら、それはまだタスクではありません。
- 06
人の名前を書く
「先方」や「Tさん」は、今日なら通じても、来年には通じません。名前はフルネームで書いてください。探すときに最初に思い出すのは、たいてい名前です。
- 07
資料はそのまま引用する
資料にうまい言い回しがあったら、その一行をそのまま写し、元の資料へのリンクを添えてください。言い換えは少しずつずれていき、数か月たつと、どれが自分の言葉だったのかわからなくなります。
- 08
ノートは小さく保つ
会議にも、アイデアにも、決定にも、それぞれ専用のノートを作ってください。小さいノートのほうがリンクしやすく、見つけやすくなります。一つのノートで三つのことを扱い始めたら、分けてください。
- 09
毎週見直す
週の終わりに時間をとって、入ってきたものを読み返し、すでにあるものにリンクしてください。毎週ならすぐに終わりますが、三か月に一度にすると、まずやらなくなります。
- 10
終わったものはアーカイブする
プロジェクトが終わったら、そのノートは邪魔にならないところへ移してください。今の仕事の中で場所をとらなくなり、検索すればちゃんと出てきます。
- 11
ファイルをバックアップする
ノートがファイルなら、ファイルとしてバックアップしてください。作業しているマシンとは別のところにコピーを置き、ときどき、本当に開けるかどうか確かめてください。
- 12
ツールが書いたものは読む
ツールが要約の下書きを作ったり、ノートを整理したり、変更を提案したりしたら、受け入れる前に読んでください。今見つけた間違いなら数秒で直せますが、ひと月後に見つかると、午後がまるごとつぶれることもあります。